コンテナ

土曜の深夜。ハンドルを握る。あてもなく走らせ初めて結局首都高に乗って品川埠頭に。どうしても思いつく場所が海沿いばかりになってしまう。
永福から乗った3号はクルマの数も少なく直線を気持ちよくX3で飛ばす。外苑あたりのカーブの連続であえて無理目なスピードでカーブに突入する。クルマは問題ないのだが、気持ちにビビリが入りコーナーリングが心ともない。自分の限界とクルマの限界、もっともっと一体化して思いのままにドライブを楽しみたい。X3はかなりの心地よさで応えてくれている。こんな気分の夜にお前に乗れる悦びって奴だ。
環状に合流するあたりで滞りがちな流れを縫いながら、遠回りの北回りをあえて選択して湾岸線へ。芝で下りた海岸通りは首都高以上にがらがらだ。逆向きの渋滞している高速とはえらい違いだ。
品川埠頭は海に面した辺りは全て保税の倉庫になっていて車両進入禁止なので、フェンス越しにお台場の夜景がよく見える場所にクルマを止める。合計8車線の広い道路に数台停まったトラック以外、他のクルマは見えない。
X3にもたれながらぼんやりとタバコを銜えて、諸々の事に思いを馳せる。こんな簡単な事で問題は解決しないけれど、心の余裕はできた。二本タバコを灰にして再びクルマに乗った。
人気のない人工的な場所で、エンジンを高らかと回す。5千の回転の響きが、心に染み込んでくる。
帰り道は一般道をゆっくりと流す事に決めて、走った。BGMのスイッチを切って、エンジン音だけを聞きながら。